なかなか新しい記事がアップできなくてすみません。
このたび、私も共著者として参加した新刊『増補版 陰謀論はどこまで真実か』(文芸社)が出ることになりました。
これは2011年に出版された『検証 陰謀論はどこまで真実か』(文芸社)に新章や新情報を加えた増補版です。
この10年で大きく様変わりした陰謀論界隈の動向をフォローし、最新の情報を踏まえて各陰謀論を検証したものです。
今回、新たに取り上げた陰謀論は、たとえば2021年初頭に前代未聞のアメリカ議会議事堂乱入事件を起こしたQアノン。
これは、神に選ばれたドナルド・トランプ前大統領が、「ディープ・ステート」というアメリカ政府を裏から操り、悪魔を崇拝する秘密結社と戦っているというものですが、なぜこうした陰謀論が信じられるようになったのか、その背景も含め、解説しています。
またUFO陰謀論では、近年、オカルト雑誌の『ムー』でも特集が組まれている、アポロ11号の宇宙飛行士たちが月面で異星人に遭遇したという陰謀論も取り上げました。
遭遇の証拠とされる音声記録を実際に確認し、本当に主張されるような証拠たり得るのか検証しています。
なお、今回、私が主に担当したのは「東日本大震災の地震は人工地震だった」と「アポロ11号が持ち帰った月の石は地球の石だった」という陰謀論です。
人工地震陰謀論では、ネットでまことしやかに流布する人工地震の「証拠」とされるものを、ひとつひとつ検証していきました。
一方、月の石陰謀論では、2019年にNASAが、「ついにアポロ計画で持ち帰ったとされる月の石が実は地球の石だったと認めた」という、メディアも賑わせた主張を検証しました。
もともとアポロ計画の陰謀論には、「月面着陸はアメリカ政府のヤラセだった」という定番の陰謀論があり、「アポロ宇宙飛行士が持ち帰った月の石」は「月面着陸の最大の証拠」とされているものでした。
その証拠が崩れたというのが、2019年に出てきた陰謀論の主張だというわけです。
さて、本書はこうした陰謀論の数々の主張を検証しています。陰謀論は、実際に詳しく見てみると、必ずしも根拠薄弱とは限りません。
むしろ、それなりの「根拠」や「証拠」とされるものがついていることもよくあります。だからこそ真偽の見分けは難しく、判断に迷うこともあるかと思います。
本書は、そのような場合にもお役に立てるよう、具体的な検証を心がけたつもりです。興味をお持ちの方は、ぜひお読みください。よろしくお願い致します。
『増補版 陰謀論はどこまで真実か』―目次―
まえがき――増補版の発刊によせて(本城達也)
第1章 Qアノンとアメリカ大統領選挙をめぐる陰謀論
Qアノンこそ正しい情報で、トランプは救世主( ナカイサヤカ)
Qアノンは日本人にも大事な真実を伝えている「Jアノン陰謀論」( 藤倉善郎)
2020年アメリカ大統領選挙で野党民主党が大規模な不正を行った(奥菜秀次)
第2章 私たちの生活に関わる陰謀論
東日本大震災は「人工地震」によって起こされた!?(本城達也)
私たちは「思考盗聴テクノロジー」を使った「集団ストーカー」に狙われている(山本弘)
有害物質を大量に含んだ雲ケムトレイルが空に浮かんでいる! (寺薗淳也)
地球は温暖化などしていない(山本弘)
第3章 日本史の中で語られた陰謀論
孝明天皇は暗殺され、明治天皇はすり替えられた(原田実)
日本が朝鮮の民族精気を断つために風水を破壊した「日帝断脈説」(水野俊平)
第2次世界大戦で、日本は負けていなかった「ブラジル勝ち組陰謀論」(皆神龍太郎)
日本政府は「世界征服計画書」[田中上奏文]を作成した(藤野七穂)
「M資金」はGHQが接収した財産などをもとに極秘に運用されている秘密資金(原田実)
ロッキード事件はアメリカが仕組んだ田中角栄つぶしの謀略だった(原田実)
日航ジャンボ機は自衛隊の誤射で撃墜された(原田実)
第4章 アポロとUFOをめぐる陰謀論
アポロ計画で持ち帰った「月の石」は地球の石だった(本城達也)
アメリカ政府は「月面に異星人が住んでいる」という事実を隠蔽している(羽仁礼)
UFOをめぐる情報は隠されている―ロズウェル事件とエリア51(皆神龍太郎+本城達也)
第5章 世界史の中で語られた陰謀論
ノーベル賞は選考時に人種差別をしている(原田実)
ナチスによるガス室でのユダヤ人虐殺はなかった「ホロコースト否定論」(奥菜秀次)
同時多発テロは自作自演によって引き起こされた「9・11テロ陰謀論」(奥菜秀次)
ダイアナ妃はイギリス王室に謀殺された(ナカイサヤカ)
フリーメイソンとイルミナティとユダヤが世界を支配している(皆神龍太郎)